〔第7分科会〕生活を破壊しない金利規制を求める決議

利息制限の精神は、1877年(明治10年)に旧利息制限法としてすでに原型が成立している。
利息制限法の精神は、21世紀にも通ずるものであるが、その内容は時代に応じて変化してきた。従って、私たちは、利息制限法の精神を現代に生きるものとして、さらに時代に合わせたものとして提起しなければならない。

私たちは、利息制限法の精神の核心は、「生活を破壊しない金利」で設定されることであると考える。そして、これを原点に、研究会、さらに公開のシンポジウムを重ねて開催し、議論を深めてきた。その結果、私たちが確認した事項は以下の通りである。

  1. 利息制限法は、成立の過程において社会政策的な意味も包含していたが、その基本的精神は経済的弱者保護であると考えるべきである。

  2. 経済的弱者保護の視点からいえば、現行の金額による三区分の規制金利のあり方には、それ自体に合理的な根拠は見いだせない。

  3. 利息制限法の現行金利は、その上限金利では生活を破綻し多重債務者を生み出していること、及び、成立時における市場金利に比べて現在の市場金利が大幅に低下していることに鑑み、引き下げるべきである。

  4. 適正な金利水準として、具体的には、給与所得者が生活を破綻させないで返済出来る金利(利率)、事業者が事業を破綻させないで継続出来る金利(利率)、一般市場での利率など多方面から検討する必要がある。

  5. 高金利を強制されるのではなく、市民が適正金利を選択できる自由が必要である。すなわち、自己決定の前提としての選択可能性が市民的自治を保証するからである。この意味において、利息制限法は市民的自治の回復という性格も併せ持つ。

 これらの項目の検討は、単に理論的な提言にとどまらない。
出資法・利息制限法に基づく金利規制については、法律の施行後2年半以内に見直すとの規定があり、金利規制を緩和する意見も根強く、利息制限法撤廃論も根絶されてはいない。

利息制限法の精神を守り、21世紀に通ずるものとするため、絶えざる研究・検討を、弁護士・司法書士といった法律専門家、会計実務に通じた税理士、大学の研究者、さらに被害者を救済して高金利被害の現場を知り尽くしている相談員および直接の被害者、そしてこの問題に関心を持つ全ての人々の声、全てを結集して行う意義は大きい。

私たちは、利息制限法の金利を「生活を破綻しない金利」まで引き下げることを求め、以上のとおり決議する。

2008年11月8日
第28回全国クレサラ・商工ローン・ヤミ金被害者交流集会in秋田
第7分科会「適正金利・上限金利を考える」参加者一同