〔第6分科会〕生活保護支援活動の積極的な取組みに向けた宣言

日本の生活保護行政の問題点を象徴的に示した衝撃的な小倉北区の餓死事件から1年以上が経過しましたが、その後の生活保護行政は依然として大きな問題点を抱えたままです。かねて指摘されてきた水際作戦、あるいは三郷事件や別府の事件にみられるような保護の打切りや辞退へと追込む硫黄島作戦など、数々の違法行為が依然として存在しています。また、生活保護基準そのもの、つまり、制度設計のレベルでも、老齢加算や母子加算の削減・廃止という制度改悪の一大問題があります。 他方で、生活保護問題対策全国会議の立上げ、また、ごく短期間に北は東北から、首都圏、東海、静岡、近畿、南は九州に至るまで全国の広範な地域を覆う生活保護支援のネットワークが誕生しました。またこうした活動と関連して、三郷や大分、新宿の訴訟にみられる個別的な訴訟、あるいは、老齢加算、母子加算のような全国的な訴訟が提起されています。

こうした取組みが着実に大きな成果をあげつつあります。まず、問題意識が共有される中で消費者運動が、生活保護をはじめとする社会保障運動に大きくコミットするようになってきました。また、各地の取組みが大きく報道され、市民意識のレベルでも、生活保護・貧困の問題が市民誰しもの問題であると考えられるように成りつつあります。さらに、より直接的には、昨年末の生活保護基準引下げの動向を阻止することができました。こうした中、厚生労働大臣が、社会保障費圧縮は限界であり、大きく方針転換すべきだと述べ、総理大臣も社会保障費を「とにかく切ればいいというのは難しくなっている」と述べるなど政府与党内にも社会保障費2200億円削減の方針が限界であるとの議論が生れつつあります。

しかし、まだまだ達成するべき課題は残されています。そもそも社会保障費削減の大きな流れが根本的に転換された訳ではありません。「先送り」されたに留まる生活保護基準切下げの動きが、年度内に再来する懸念も残されたままです。また、今年4月に導入された、通院移送費を厳しく制限する通知も撤回されていません。さらに、生活保護の受給を原則として一生の間に5年以内とする制度の導入が繰返し提言されるなど、生活保護制度を根底から破壊しようとする動向も根強く存在します。

そこで私たちは、社会保障運動との連携をいっそう強化するとともに、社会保障費を削減して経済的弱者を困窮させる政策を根本的に転換させるべく、以下の課題に取組むことを決意いたします。

  • 早急に生活保護支援のネットワークを日本全国にくまなく確立し、水際作戦や硫黄島作戦の根絶を図ること
  • 老齢加算・母子加算を復活させ、移送費に関する通知を撤回させること
  • 再来が予想される生活保護基準切下げの動きを阻止すること
  • 生活保護受給を原則5年間に限る「有期保護制度」の導入を阻止すること

以上、決議する。

2008年11月8日
第28回全国クレサラ・商工ローン・ヤミ金被害者交流集会in秋田
第6分科会参加者一同