〔第4分科会〕生活と命のための過払金の尊重と返還の促進を求める決議

  1. 最高裁判所および全国の裁判所に対して、私たちは、不当利得返還請求権の最大限の尊重を求めます。借主が知らない間に、権利行使の機会が実際にはないまま時効消滅するという扱いは、憲法13条の自己決定権、幸福追求権の侵害です。借主の権利義務につき借主を欺罔したまま、貸金業者の取り得を認めるのは憲法29条及び憲法31条違反となります。

    過払金(不当利得返還請求権)とは、貸金業者は違法な金利と知りつつ利息制限法違反の金利を契約書に記載し、借主にはこれを合法と誤信させて請求し、支払わせた結果、発生するものです。

    借主は脱出できない高金利の罠の中で次第に生活を圧迫されていき、時には借りて支払う結果、多重債務に陥りながら返済し、時には病気でも健康保険もはらわず病院に通うこともないまま支払い、ときには家賃、税金、学校の給食費、光熱費すら支払えなくなっても、怖い貸金業者には支払ってきました。

    過払金とは、その結果発生した、命を代償とした貴重な権利であり、大切な財産権です。正しい権利義務を、素人に告げる責任が専門的事業者である貸金業者には課されているのです。ところが、借主に知らせず、過払金を複利で運用して多額の利益をえたままにすることを認めることは、利息制限法の抜け道を作ることになります。

    利息制限法の適用において、充当を分断することも、過払金を後手に隠して運用しつつ、本来返すべき金額、借りないで済んだ金額を借主に渡したことを、「貸付」であると騙す行為を容認することに他なりません。

  2. サラ金と提携した銀行に対して、私たちは、違法な不当利得は借主に自発的に返還するよう指導することを求めます。
    サラ金の利息制限法違反の違法な収益を返さないままの状態で、銀行がサラ金とその財産を抱え込むことは許されません。

  3. 立法府及び行政府に対して、私たちは、貸金業者が、自社ATMに関して取る手数料をみなし利息から除外することに反対します。現行法の実質貸付主義を破壊する改悪ですので見直しを要求します。

以上、決議する

2008年11月8日
第28回全国クレサラ・商工ローン・ヤミ金被害者交流集会in秋田
第4分科会(生活と命のための過払金返還請求・裁判実務)参加者一同